• 予約をしていない方の当日受付も可能です
  • WEB問診

脳の疾患

脳卒中

脳の血管が詰まったり、破れたりして起こる脳血管障害です。脳細胞が破壊されることで、手足がしびれる・動かなくなる・急に倒れる・意識がなくなる・言葉が話せなくなる・視野が狭くなるなどの発作が起こります。脳梗塞・脳出血・くも膜下出血があります。脳卒中は、突然死を招く深刻な疾患のため、発症を予防することが重要とされます。当院で行う脳ドックは、脳の状態を検査して脳卒中の早期発見・早期治療が可能になります。

脳腫瘍

頭蓋内にある腫瘍の総称を、脳腫瘍と言います。良性・悪性はいくつかの検査で診断できます。主な症状は、頭痛・嘔吐・けいれん発作・視力障害などが現れます。初期段階の自覚症状はありませんが、腫瘍が大きくなることで頭痛が起こります。

髄膜腫

脳腫瘍の中で最も多い腫瘍です。中年女性に多く男性の倍の頻度です。脳を覆っている髄膜から生じる良性腫瘍です。症状は何もないのに、CTやMRIを撮影して偶然見つかることもよくあります。ゆっくりと大きくなる腫瘍なので、心配しすぎる必要はありません。ただし、大きくなってきて周囲の脳の圧迫症状が出てくるようであれば、外科的に摘出します。直達手術が難しい場合などは定位放射線治療も選択肢となります。

下垂体腺腫

下垂体腺腫は脳腫瘍の中で3番目に多い腫瘍です。
下垂体はホルモンを産生する器官です。下垂体には前葉と後葉がありますが、腺腫を形成するのはほとんどが前葉です。ホルモンを産生しないで大きくなり視力視野を障害して発症する場合と、ホルモンを産生してホルモン分泌異常による症状で発症する場合の2通りがあります。
下垂体は脳の底面にありますが、鼻腔の奥にも接しています。そのため外科的に腺腫を摘出する場合は、ほとんど場合、鼻からアプローチします。脳を直接触ることはありません。腺腫の種類によっては、薬物療法が優先される場合もあります。

神経鞘腫

神経鞘とは、末梢神経を覆っている膜のことです。絶縁体のような役目をしていて、末梢神経を電気が伝わっていく効率を上げる働きをしています。その膜から発生する良性腫瘍が神経鞘腫です。脳腫瘍の中で4番目に多く、全体の約10%程度です。
神経鞘腫のほとんどは、聴覚や平衡感覚をつかさどっている聴神経から発生します。難聴、耳鳴り、めまいなどで発症します。腫瘍が大きくなると周囲の脳幹、小脳を圧迫してしびれや歩行障害などが出現します。

神経膠腫

神経膠腫(こうしゅと読む)は、脳や脊髄の神経細胞を支えて保護している神経膠細胞(グリア細胞)から発生する腫瘍です。原発性脳腫瘍の約25%を占めていて、髄膜腫の次に2番目に多い脳腫瘍です。神経細胞に浸潤して広がっていくので根治は難しく、悪性腫瘍に分類されます。
外科的摘出術、化学療法、放射線治療を組み合わせた治療が行われます。神経膠腫の悪性度(細胞の異形性)によって期待できる治療効果は異なります。最も悪性度の高い神経膠芽腫では、2年以上の生存は難しいとされています。

転移性脳腫瘍

脳以外の身体にできた悪性腫瘍(がん)が脳に転移した腫瘍です。最も頻度が多いのは肺がんで全体の約60%を占めると言われています。続いて、乳がん、大腸がんです。
脳腫瘍全体の約20%ですが、高齢化や画像診断の普及で増えています。

頭部外傷によって起きる疾患

慢性硬膜下血腫

硬膜という頭蓋骨の内側の膜の直下に血液成分が滲み出るようにゆっくりと溜まった状態です。軽い頭部打撲がきっかけになって起きるとされていて、高齢者に起きることが多いです。本人は頭部を打撲したことを憶えていないこともしばしばあります。だいたい頭部打撲から2−3週間して血腫が溜まってきて、2−3ヶ月以内に症状が出てきます。血腫が少量であれば、自然吸収されるのを待つこともできます。
血腫が増えてきて脳を圧迫することで頭痛・ろれつが回らない・うまく歩けない・物忘れなどの症状が現れた場合には、局所麻酔で頭蓋骨に指が通るくらいの大きさの穴を開けて(穿頭術)、血腫を外に流し出す手術をします。この手術で症状は軽快しますが、しばらくして再発することもあります。

急性硬膜外血腫

頭部打撲で頭蓋骨が骨折した場合に、頭蓋骨の内側の硬膜を走っている硬膜動脈が損傷して血腫が溜まった状態です。硬膜は頭蓋骨と密着しているので骨折してすぐには血腫が溜まりません。そのため受傷後しばらく意識がしっかりしている時間があるのが特徴的です。受傷して数時間後に血腫が溜まってくると脳の圧迫により急激に症状が悪化してきます。その場合は開頭して血腫を取り除く必要があります。早めに血腫除去術を行えれば、脳自体は傷ついていないので経過は良好です。

急性硬膜下血腫

頭部外傷などが原因で、硬膜の内側に血液が溜まった状態です。通常、脳表の血管が損傷して出血が起きるので、脳自体も傷ついている脳挫傷を伴っていることが多いです。硬膜と脳は密着していないので血腫は広がりやすく、すぐに意識障害や手足の麻痺が出現することが多いです。その場合は、緊急で開頭して血腫を取り除くとともに脳表の傷ついた血管を探し出して止血しなければいけません。経過は不良なことが多く、後遺症の残る可能性の高い病態です。

外傷性くも膜下出血

頭部打撲による衝撃で脳の表面の血管が損傷して出血した状態です。脳表の損傷が軽微なために脳の表面を覆っているくも膜が破れず出血がくも膜の内側のみに広がっている状態です。急性硬膜下血腫や脳挫傷が合併しているかどうかで重症度は異なります。単に外傷性くも膜下出血だけの状態であれば、頭痛や嘔気などは見られるものの症状は軽快していくことが多いでしょう。
脳動脈瘤の破裂によるくも膜下出血は、全く異なる病状と経過をたどる別の疾患と考えてください。

脳挫傷

作業員頭部打撲の衝撃で局所の脳が損傷して脳実質に出血および浮腫をきたした状態です。打撲した側だけでなく、反対側の脳にも起きることがしばしばあります。例えば、後頭部を強く打って前頭葉に脳挫傷が生じることがあります。
損傷の起きる部位によって症状は異なります。意識障害、手足の麻痺、失語、視野異常などです。てんかん発作を起こすこともあります。
脳の出血や浮腫が強くて周囲の脳を圧迫して生命に関わる可能性がある場合には、開頭術を行うこともあります。

脳および頸部血管の異常

脳動脈瘤(未破裂)

脳動脈瘤脳動脈がコブのように膨らんだ状態が、脳動脈瘤です。血管が分岐しているところに生じることが多いです。先天的に血管壁の中膜という層が欠損しているところに、長年血流の圧力が加わることで膨らんでいくと考えられています。有病率には人種差があって、世界的に見て日本人の有病率は高いです。中高年の約5%に何らかの脳動脈瘤があると推定されています。
脳動脈瘤が破れてしまうと、くも膜下出血になります。くも膜下出血を発症すると、約半数の人が命を落としてしまうことになります。
とはいえ、脳動脈瘤が発見されたからといってすぐに破裂するわけではありませんので、心配し過ぎることのないようにしましょう。これまでの日本人のデータでは未破裂脳動脈瘤の平均的な破裂率は年間1%程度と考えられています。仮に今、動脈瘤が発見されたとして、1年後に99%は大丈夫ということになります。1%で破裂すると考えると皆さん怖くなってパニックになってしまう方が少なくありません。
もちろん破裂率は性別、年齢、動脈瘤の大きさ、形状、部位などの要因で異なりますから、個別に破裂率を予測する必要があります。
破裂しないようにする予防的な治療法としては、開頭クリッピング術とカテーテルによるコイル塞栓術があります。いずれも一長一短ありますが、最近はカテーテルによる治療が選択されることが増えてきています。
脳動脈瘤が発見されたからといって、すぐに破裂予防の治療を受けるべきというわけではありません。低侵襲的な治療法であるコイル塞栓術においても、合併症が生じて後遺症が出る可能性があります。
自然経過での破裂によって健康被害を生じる危険性が、治療のリスクを明らかに上回ると考えられる場合に治療が推奨されます。患者様個々で置かれた状況は異なりますので、取るべき選択肢は医療者側でこれだと決めつけられるわけではありません。
当院では、これまでの豊富な脳動脈瘤の治療経験をもとに患者様が御自身で判断できるよう、わかりやすくアドバイスいたします。
自分が脳動脈瘤を持っていないか心配なので調べたいという方には、脳ドックプログラムを用意しています(自費診療)。

脳動脈解離

脳血管の壁は3層に分かれていますが、層と層の間が裂けてその隙間に血液が入り込んだ状態を解離と呼びます。40〜50歳代の男性に多い疾患です。約60%は椎骨動脈に起きます。解離は自然発症の場合もあれば、首を強く捻ったりした場合に発症することもあります。いずれの場合も比較的強い痛みを後頭部に伴うことが多いようです。
多くの場合、頭痛で発症しても、1ヶ月くらいの間に自然に解離した壁は修復されてくると考えられています。しかし、時に血管壁が膨れて本来の血液が流れる腔(真腔)が狭くなったり閉塞してしまい脳梗塞を生じることがあります。また、血管壁のいちばん外側まで解離が及んでしまい、くも膜下出血に至ることもあります。頭痛のみで発症した場合には、初期には注意深くMRIで経過観察して形状に変化が生じるようであれば、解離部を閉塞させたりステントを留置して血管形成を試みることを検討します。

頸部内頸動脈狭窄

総頸動脈は鎖骨の辺りから頸部を上行しながら内頸動脈と外頸動脈に分岐します。内頸動脈は頭蓋内に、外頸動脈は顔面に血液を送っています。この分岐部の周辺は、動脈硬化の好発部位であり脳梗塞の原因となります。頸部内頸動脈狭窄を予防するためには動脈硬化の危険因子である高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙習慣などを改善することが大切です。
内頸動脈狭窄が進行してきた場合には、狭窄部の血管壁には炎症が起きて血小板が凝集して血栓が形成されやすい状態になっています。そこで血小板の凝集を抑えるために抗血小板薬を内服します。
さらに狭窄が進行したり脳梗塞を発症してしまったりした場合には、血行再建術を行います。血行再建術には、頸部を切開して行う「内膜剥離術」とカテーテルでステントを狭窄部をまたぐように留置する「頸動脈ステント留置術」とがあります。日本では、頸動脈ステント留置術の方が選択される場合が多くなっています。

脳動静脈奇形

脳の動脈と静脈が毛細血管を介さずに直接つながって、拡張・蛇行した血管の塊(nidus: ナイダス)となっている、先天的な血管異常です。
毛細血管がないので血管抵抗が低いためたくさんの血液が流れ込みます。そのため周囲の脳組織に行き渡る血液が足りなくなって、けいれん発作や手足の麻痺などが出現することがあります。これを盗血現象といいます。
また、異常血管の塊(ナイダス)は通常の血管に比べて脆い(もろい)ので、破れて脳出血やくも膜下出血をきたすこともあります。
何らかの症状で発症するのは、20 〜40歳代の男性に多い傾向があります。
治療は、開頭してナイダスを全摘出する外科的手術、放射線治療、カテーテルによる塞栓術があります。いったん出血してしまったナイダスは再出血をきたす確率が高いので積極的に根治治療を検討しますが、偶然発見された場合には根治治療を行った場合の合併症のリスクを考えて経過観察していく選択肢を取ることもめずらしくありません。

脳・脊髄の硬膜動静脈瘻

頭蓋骨や脊椎のすぐ内側にあり、脳・脊髄を覆っている硬膜を栄養している血管が、何らかのきっかけで硬膜周辺の静脈に直接流れ込むようになった状態です。後天的な疾患と考えられています。通常は、多数の細い硬膜動脈が静脈との短絡部(これをシャント、瘻=ろう)へ流れ込んでいます。動脈圧が直接、静脈系にかかることになってしまうので、本来その静脈を介して心臓に戻っていくべき血流が流れることができずに鬱血(うっけつ)してしまいます。重症な場合には、血液が静脈を逆流してしまうこともあります。そのため脳・脊髄の組織に酸素やブドウ糖が十分に供給されず、機能低下を起こしてしまいます。場合によっては血管が破綻して出血することもあります。
治療は、カテーテルによってシャント部を含めて動静脈瘻を塞栓します。時には、直達手術で直接、シャント部を切断することもあります。それでも根治が難しい場合には、放射線治療の選択肢もあります。

もやもや病

もやもや病は、内頸動脈が頭蓋内に入って中大脳動脈と前大脳動脈に分岐するあたり(内頸動脈終末部)で、徐々に狭窄していく疾患です。中大脳動脈や前大脳動脈を介して脳へ血液を送り込むことができなくなるので、代償性に側副血行路が発達します。この側副血行路は、血管撮影でタバコの煙のようにもやもやして見えることから、「もやもや血管」と命名されました。ただ、もやもや血管による側副血行は十分でなく、しかも脆弱なことが多いので、脳虚血による症状や血管が破綻して脳出血・くも膜下出血を起こします。日本を含む東アジア諸国に多く見られる疾患で家族性もあります。日本で初めて報告された疾患です。
根治的な治療方法はありません。対症療法として、血行再建術を行い末梢の血流を増やすことによって、側副血行を介した血流の需要を減らして側副血行路にかかる負担を減らすことが期待できます。その結果、脳虚血症状および脳出血のリスクを下げることができます。

頭痛・けいれん、その他

片頭痛

我慢ができないほど激しい頭痛で、月に数回の頻度で起こります。特に、思春期から40代の女性に多く見られます。非常に強い痛みのため、仕事や家事に手が付かず日常生活に支障を及ぼしてしまいます。片頭痛は、片側のみの場合もあれば、両側に痛みが現れることもあります。ズキンズキンと脈を打つような頭痛です。酷い場合には、吐き気や嘔吐が伴うこともあります。頭痛が起こると、普段は気にならない音や光、臭いに嫌悪感が生じることがあります。頭痛の予兆としては、首肩の凝り・生あくび・疲労感・食欲亢進などの症状が、頭痛が起こる数時間前から現れます。

緊張型頭痛

片頭痛の痛みとは異なり、拍動性ではなく徐々に痛みが出てきます。後頭部から首筋の頭重・締め付けられるような鈍い痛みなどが現れます。頭痛によって日常生活に支障を及ぼすことはありません。この場合、首肩のストレッチや首肩を温めるなどで症状が軽快します。パソコンの長時間使用・眼精疲労・車の運転・運動不足・冷え・精神的ストレスが重なって起こります。

群発頭痛

片頭痛よりも発症頻度は少なく稀な疾患ですが、痛みは最も強い頭痛とされます。特に、20~30代の男性に多く見られます。季節の変わり目など1年の決まった時期に、毎日のように約1カ月間、激しい頭痛に襲われます。片側の目がえぐられるような痛みと表現されます。耐え難い頭痛のため、寝ていても痛みで目が覚めてしまうこともあります。気圧の変動が誘因となるほか、群発期には飲酒後1時間以内に群発頭痛の発作が現れます。

顔面けいれん

自分の意思とは関係なく、片側の顔面がピクピクとけいれんする疾患です。目の周りだけでなく口元や顎まで動くようになることもあります。けいれんが強いと目が開けていられない状態になることもあります。
顔面を動かす神経(顔面神経)が脳幹と呼ばれる脳から出たところで、蛇行した血管によって圧迫されることで起こるとされています。
顔面けいれんは、放っておいて治療しなくても命に関わることはありませんが、治療としてボツリヌストキシン注射療法と開頭による微小血管減圧術があります。
ボツリヌストキシン注射療法は根治的な治療ではありません。ボツリヌストキシンを顔面の筋肉に注射して軽く麻痺させます。3−4ヶ月は有効です。
微小血管減圧術は、開頭して手術顕微鏡で見ながら、顔面神経を圧迫している血管をずらして血管の拍動が伝わらないようにします。9割以上の有効性が報告されています。

症候性てんかん

脳の神経細胞はそれぞれが電気的な活動を秩序立てて行って全体と機能しています。てんかんは、脳の神経細胞が電気的に異常興奮して暴走することによって、けいれんや意識障害などの発作症状を繰り返す疾患です。慢性疾患としての診断ですので、1度だけの発作症状では、原則てんかんとは診断しません。
画像でわかるような異常が脳にあれば、それが原因になることはあり得ますが、髄膜炎などの感染性疾患が原因になることもあります。また、原因不明のてんかんも少なくありません。
脳の一部でてんかん性の脳波異常が始まる部分発作と両側の大脳でほぼ同時に脳波異常が出現する全般発作に分かれます。両者で有効な抗てんかん薬が異なるので鑑別は重要になります。
生涯におけるてんかんの発症率は1000人あたり5〜10人とされていて決して珍しい疾患ではありません。小児や思春期に発症することが多いのですが、60歳以降発症率は再上昇します。人口高齢化に伴って高齢者のてんかん患者が増えています。

痙縮

痙縮(けいしゅく)とは、筋肉のつっぱりを指します。主に、脳梗塞など脳卒中の後遺症でよく見られる機能障害です。筋肉がつっぱって緊張して、手足が動かしにくくなったり、自分の意思とは別に動いてしまう状態が痙縮です。この状態が長く続くと、関節の運動が制限され日常生活にも支障を及ぼしてしまいます。次第に、リハビリの障害にもなるため、早めに痙縮を治療する必要があります。
当院では、痙縮に対するボトックス治療を行っております。ボトックス注射は、筋肉が収縮する力を抑制するボツリヌストキシンを注射する治療法です。ボトックス注射は、以下のような治療効果が期待できます。

  • 手足の筋肉や関節が動かしやすくなる
  • 痙縮の痛みを緩和できる
  • 関節が固まって動かなくなったり、変形したりするのを予防できる
  • リハビリしやすくなる
  • 介護の負担を軽減できる
DR.BRIDGE|クリニックホームページ制作クリニックホームページ制作

サイトマップ

TOPへ